これからはじめるサイバー空間からの脅威防衛術


〜平時から取り組む災害に備えるサイバーセキュリティの重要性〜

ごきげんよう

近年、自然災害やパンデミックなどの緊急事態が頻発する中で、企業や組織が直面する課題の一つに「災害時のサイバーセキュリティ」があります。災害時は物理的なインフラの破壊や通信網の混乱が発生するだけでなく、サイバー攻撃のリスクも急増します。こうした状況に備えるためには、平時から適切な準備を行い、災害時にも安全に運用できる体制を整えることが重要です。

災害時におけるサイバーセキュリティのリスク

災害時には、以下のようなサイバーセキュリティ上のリスクが高まります

  1. フィッシング攻撃の増加
    災害情報を装ったメールやウェブサイトを通じて、個人情報や認証情報を盗むフィッシング攻撃が増加します。人々が緊急情報を求める状況では、こうした詐欺に引っかかりやすくなります。
  2. 脆弱性の悪用
    災害時にはシステムの更新や監視が滞りがちです。この隙を突いて、既知の脆弱性を悪用する攻撃が行われる可能性があります。
  3. 通信インフラの混乱
    インターネットやネットワークが不安定になることで、セキュリティ対策が正常に機能しなくなる場合があります。これにより、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。

平時から取り組める対策としては

災害時にサイバーセキュリティを確保するためには、平時から以下の対策を講じることが重要です。

  1. 事業継続計画(Business Continuity Plan)の策定
    サイバーセキュリティを含む包括的なBCPを作成し、災害時にも企業や組織が災害や緊急事態に直面した際にも、重要な業務を継続または迅速に復旧させるための計画・体制構築。地震や台風などの自然災害、システム障害、サイバー攻撃、パンデミックなど、多岐にわたるリスクに備えるために策定されます。継続できる体制を整えます。これには、代替通信手段の確保、緊急対応チームの設置などが含まれます。
  2. 定期的な教育と訓練
    組織や関係者に対して、災害時におけるサイバー攻撃への対応方法を教育します。また、実際の災害を想定した訓練を行い、迅速な対応能力の向上を目指します。
  3. 多層的なセキュリティ対策
    ファイアウォール、アンチウイルスソフト、侵入検知システム(IDS)などの多層的な防御を導入し、災害時にも機能するよう設定します。
  4. クラウドサービスの活用
    データやシステムをクラウド上に移行することで、物理的な災害による影響を最小限に抑えることができます。ただし、クラウドサービス自体のセキュリティも十分に検討する必要があります。
  5. 迅速な情報共有と連携
    災害時には情報共有が鍵となります。関係機関やパートナー企業・組織との連携を強化し、サイバー攻撃やシステム障害に関する情報を迅速に共有できる体制・関係性を再構築します。

終わりに

災害時には物理的な安全確保だけでなく、デジタル資産を守ることも重要です。サイバーセキュリティは平時から準備しておくことで、その効果を最大化できます。企業や組織は「災害はいつ起きてもおかしくない」という意識を持ち、日常的な取り組みを強化する必要があります。

  先ず全体像(現状)を知る

  全責任は企業や組織の長にあり

  どこに・誰に聞けばいいかを知る

  PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)

私たち一人ひとりが適切な知識と対策を持つことで、災害時にも安心してデジタル環境を利用できる社会の実現に貢献できるでしょう。


ごきげんよう

文責:京橋消防団広報編集委員会団本部