消防団を支える通信網「デジタルMCA」とは?

第三分団ブログ担当です。

我々消防団員は災害・訓練・催事警戒などの様々な出場機会には

携帯電話以外の通信手段を分団本部から持参して活動にあたります。

今回は我が京橋消防団の通信網の基幹を成す「デジタルMCA無線」をご紹介します。

出典:総務省中国総合通信局ウェブサイト

MCAとは「マルチ・チャンネル・アクセス」の略で、複数の周波数を特定多数のユーザーが

繰り返し共同利用し、MCAサービスを提供する事業者が設置管理する制御局(中継局)と、

利用者が設置し管理する指令局(事務所等に設置)及び移動局(車載局・携帯局)で構成されます。
利用者は、同じ組織などのグループ単位ごとに無線通信を行うことができ、専用性が保たれるシステムになっています。
MCAシステムは、制御局を山頂などに設置できるため、広範囲なエリアを確保することが可能となっています。
 利用者における無線従事者の配置が不要であり、国や自治体などが行う公共業務や民間業務でも開設可能なシステムです。

東京都内には3箇所に基地局が設置されて全域をカバーしています。

過去に発生した「阪神淡路大震災」「東日本大震災」「北海道胆振東部地震」「令和2年7月豪雨」などの大規模災害時において、携帯電話や固定電話は通信が集中(輻輳)するため接続が制限され通話が困難になるなかで、専用性を維持し止まることなく通信を確立した実績が広く知られています。

写真:分団配置のMCA無線機と着装事例

我が京橋消防団には本部に基地局1台と、各分団に携帯局が2台ずつが配置されており、

運用の慣熟につとめております。一般的な無線機と比べると若干のタイムラグがあり

これを踏まえての通話がコツとなります。

このように指揮命令系統の要となるデジタルMCA無線ですが、残念にも使命を終える時期が迫っています。

総務省の方針によりデジタルMCA無線の周波数が別の用途に転用されるため、

2029年5月でのサービス停止が決定しております。

現在の業務用無線システムとしては音声をデジタル信号化してインターネット経由で交信する

「IP無線」が主流となりつつあります。ただしこれは従来の自営回線とは異なり

大規模災害発生時の通信確立への懸念も考えられます。

消防団におけるデジタルMCA無線の後継システムについては現時点では特に示されておりません。

我が分団は今後の動きに引き続き注視してまいります。

京橋消防団では消防団員の無線技士養成にも取り組んでおります。(第三級陸上特殊無線技士)

ご興味のある方はお近くの消防団員または京橋消防署までお問い合わせください。