無窓階と無窓室の安全対策について

ごきげんよう

私は地域の消防団員として活動しています。「火災後の状況報告や報道を通じて感じるのは、建物の構造や設備が火災時の安全性に密接に関わっているという点です。」特に「無窓階」と「無窓室」は、火災時に煙や熱がこもりやすく避難が困難になるため、消防法令に基づいた対策が欠かせません。


無窓階と無窓室とは?

  • 無窓階: 階全体の外壁面積のうち窓や有効な開口部が1/30未満の階。例:地下駐車場、映画館ホール。
  • 無窓室: 部屋単位で窓や有効な開口部がない空間。例:倉庫、会議室、バックヤード。

これらの空間は共通して、火災時に煙や熱がこもり、避難や消防活動が難しくなるという課題があります。


消防法施行令 第10条第1項第5号

避難上又は消火活動上、有効な開口部を有しない階

ポイントは「窓がない階」ではなく、有効な開口部を有しない階 = 無窓階であるということです!


消防法令による規制

消防法や建築基準法では、無窓階や無窓室の安全性を確保するために以下の規制が設けられています:

1. 排煙設備の設置(消防法第17条の3の2)

火災時に煙を効率的に排出するため、無窓階や無窓室には排煙設備が義務付けられています。

  • 排煙窓: 自動開閉式の窓。
  • 排煙ダクト: 煙を屋外に排出する専用ダクト。
  • 排煙ファン: 強制的に煙を排出するファン。

2. スプリンクラー設備の設置(消防法施行令第12条)

火災を早期に抑えるため、一定規模以上の建物ではスプリンクラーの設置が必要です。これにより、火災の拡大を防ぎ、排煙設備の効果を高めます。

3. 防火区画の設置(建築基準法第35条)

火災の拡大を防ぐため、防火扉や耐火壁を設置します。これにより、避難時間を確保し、火災の進行を遅らせます。

4. 避難経路の確保(消防法第8条)

窓がない分、内部の避難経路を明確に確保することが求められます。

  • 誘導灯: 視界が悪くても避難方向を示す。
  • 避難階段: 煙が充満しない構造で設計。

消防団員として感じる課題として

火災現場では、無窓階や無窓室の構造が原因で以下のような問題が発生します:

  • 煙の充満: 排煙設備が不十分だと視界不良や呼吸困難を招きます。
  • 熱の蓄積: 窓がないことで熱がこもり、火災が急速に拡大します。
  • 避難の困難さ: 外部への避難が制限されるため、内部の避難路が重要です。

設備が整っていない場合、消防隊員の活動にも支障が出ることがあります。そのため、法令に基づいた設備の設置が命を守る鍵となります。


まとめ

無窓階や無窓室は、火災時に特に注意が必要な空間です。消防法令では、排煙設備、スプリンクラー、防火区画、避難経路などの設置が義務付けられています。これらの対策を適切に行うことで、火災時の安全性を確保することができます。

私たち消防団員は、「こうした現場での火災対応をシミュレートし、防災拠点訓練等においてこれらの重要性をお伝えしています」が、設備が整っていない場合は命の危険を伴うこともあります。地域の皆さんにも建物の安全性について意識を高めていただき、万が一の火災に備えてほしいと思います。

火災はいつ起きるかわかりません。法令を守り、安心して暮らせる環境を一緒に作りましょうね。

ごきげんよう

#街の笑顔を守りたい

文責:京橋消防団広報編集委員

団本部