猛暑再到来で命を守る行動を
ごきげんよう
はじめに
近年、地球温暖化の影響で夏季の平均気温が上昇し、酷暑が常態化しています。特に2025年の夏は過去最高の気温を記録する可能性があり、熱中症が公衆衛生上の重大な課題となっています。本記事では、熱中症のメカニズム、リスク要因、予防策、そして社会的対応について専門的な視点から解説していきます。

↑↑↑ https://wbgt.metro.tokyo.lg.jp/
熱中症のメカニズム
熱中症は、環境温度の上昇に伴い体温調節機能が破綻し、体内の恒常性が崩れることで発生します。そのメカニズムは以下の3段階で進行します:
1. **熱放散の限界**
人体は通常、汗の蒸発や皮膚表面からの放熱によって体温を調節します。しかし、湿度が高い環境では汗の蒸発効率が低下し、熱放散が阻害されます。
2. **循環系への負担**
高温環境下で血流を皮膚へ集中させるため、内臓への血流が減少します。これにより、心拍数の増加や血圧の低下が引き起こされ、循環系に負担がかかります。
3. **細胞損傷と炎症反応**
体温が40℃を超えると、タンパク質の変性や細胞膜の損傷が進行し、全身性の炎症反応(SIRS)が発生します。この状態は生命を脅かす重篤な合併症を引き起こします。
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熱中症のリスク要因
熱中症は環境要因と個人要因が複合的に作用して発生します。以下は主なリスク要因です:
環境要因
**高温多湿**:気温35℃以上、湿度70%以上の環境ではリスクが急激に上昇します。
**閉鎖空間**:風通しの悪い室内や車内は熱がこもりやすく、危険です。
個人要因
**高齢者**:体温調節機能が低下しているため、熱中症のリスクが高い。
**乳幼児**:体表面積が大きく、体温調節能力が未熟。
**慢性疾患患者**:心疾患や糖尿病などの既往歴がある人は循環系や代謝系の負担が大きい。
**薬剤使用**:利尿薬や抗コリン薬は体温調節を妨げる可能性があります。
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専門的な予防策
熱中症予防には、科学的根拠に基づいた対策が必要です。以下は専門的な視点での予防策です:
1. **水分補給の最適化**
水分補給は熱中症予防の基本ですが、単なる水だけでは不十分です。汗で失われる電解質(ナトリウムやカリウム)を補うため、経口補水液(ORS)の使用が推奨されます。特に高齢者や運動中の人には効果的です。
2. **環境管理**
**遮熱対策**:断熱材や遮熱フィルムを使用し、室内温度を下げる。
**冷却技術**:冷却ベストやネッククーラーなどの着用型冷却グッズを活用する。
**WBGTモニタリング**:暑さ指数(WBGT)を測定し、活動の指針とする。
↓↓↓環境省熱中症予防情報サイト↓↓↓↓↓
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php?region=03&prefecture=44
3. **行動計画**
**時間管理**:屋外活動は早朝や夕方の涼しい時間帯に限定する。
**服装**:吸湿速乾性の衣服を選び、通気性を確保する。
**休憩の徹底**:定期的に涼しい場所で休憩を取る。
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社会的対応と倫理的課題
熱中症対策は個人の努力だけでは限界があります。社会全体での取り組みが不可欠です。
公共政策
– **冷却施設の整備**:公園や駅に冷却スポットを設置し、誰もが利用できる環境を提供する。
– **啓発活動**:学校や地域で熱中症予防の教育を実施する。
労働環境の改善
– **柔軟な勤務形態**:猛暑日のテレワークや時差出勤を推奨する。
– **職場の温度管理**:作業環境の温度を適切に管理し、労働者の健康を守る。
倫理的課題
特に高齢者や社会的弱者への支援は、倫理的な観点からも重要です。孤立した高齢者が熱中症で命を落とす事例が後を絶ちません。地域コミュニティによる見守り活動や、行政による積極的介入が更に求められます。
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結論
酷暑は私たちの生活に深刻な影響を与えますが、個人と社会が連携することでそのリスクを最小化することが可能です。熱中症は予防可能な疾患であり、科学的根拠に基づく行動と社会的支援を組み合わせることで、多くの命を救うことができます。
2025年夏の素晴らしい思い出と共に、将来に向けて新しい世界を築くために、安全に行動し厳しい暑さを乗り越えるために、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
ごきげんよう
#街の笑顔を守りたい
文責:京橋消防団広報編集委員団本部
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