次の世代へつなぐ技術と思い 選手たちの横顔②

お盆期間が終わり、東京の街に日常が戻ってきました。10月に開催される東京都消防操法大会に向けた事前訓練は、日を追うごとに密度の濃い内容となっています。8月18日も八重洲の路上で訓練が行われ、第6分団は第5分団とともに支援に参加しました。
この日は訓練に参加できない選手もいたため、ベテラン団員が代役を務めての訓練となりました。基本動作を確認した後の放水訓練では、一秒も無駄にすることがないよう集中する選手たちの姿が印象的でした。
支援として参加した団員も、選手たちが少しでも良い環境で訓練できるよう、手早くホースを巻き、給水作業を進めます。選手と支援団員は立場こそ違っても、都大会に向けた思いは同じ。言葉にはしなくても、全員が心をひとつにした時間が流れていました。

当ブログでは、都大会に出場する選手たちの横顔を数回にわたって紹介しています。今回は、操法の成否を分ける重要な役割を担う「2番員」です。
「2番員」を務めるのは、第3分団の副分団長、亀岡正博さん(51)です。亀岡さんはビル管理の仕事をしながら、消防団員として四半世紀以上にわたり活動してきました。操法大会の都大会出場は今回で6回目。今回のチームで最も出場経験が豊富で、常に全員に目を配り、的確なアドバイスを送り続ける「大黒柱」です。

明るい笑顔とともに飛び出すエールは、選手だけでなく、支援に当たる団員の「やる気」にもつながっています。
「足の速さには定評があったが、年齢とともにタイムは落ちている。それを補うのが技術」
そう話す亀岡さんのホースを扱う手際の鮮やかさは、思わず見入ってしまうほどです。
実は今回のチームには、もう一人の「2番員」がいます。サポート選手として参加している、第5分団班長の大山竜平さん(29)です。

全力疾走する場面が多く、運動量の大きい「2番員」。学生時代テニスをしていた大山さんはしなやかな細身の体形で、訓練のたびに軽やかに走り抜けていきます。亀岡さんが京橋消防団の操法大会で大山さんの走りと、操法に向き合う姿勢に注目し、都大会出場チームの一員にと声をかけました。
そこには亀岡さんの「自分がこれまで得た経験や技術を、次の世代に伝えたい」という思いがありました。
大山さんは今回、都大会に選手として出場するわけではありません。それでも会社員として多忙な日々を送る中、時間をつくり、訓練に参加し続けています。間近で亀岡さんの動きを学ぶだけでなく、場面によっては代役として訓練に加わることもあります。
「レベルの高い訓練に参加できるのは楽しい」
そう話す大山さんは、都大会チームの動作の正確さに驚いたといいます。
「こうした動きを学び、支えてくれている第5分団の技術の底上げにつなげたい」
その言葉からは、自分自身が技術を身につけるだけでなく、それを所属する分団へ持ち帰ろうとする思いが伝わってきます。

一方、大山さんが亀岡さんを見て強く感じたのは、「探求心」でした。
「高い技量と経験があるのに、まだまだ向上しようとしている。その探求心に感動しました」
後進を育てながらも、亀岡さん自身も選手として進化することをやめません。そこには、操法大会に向けた強い思いがあります。
亀岡さんはこう語ります。
「操法大会の訓練を通じ、いざというときに使える技術を身につけることができる。そして、支援をしてくれるほかの分団の人との交流は、地域の防災力向上につながる」
そして、常に抱いているのは、支えてくれている京橋消防団への感謝です。
「ほかの分団の選手にも、自分の技術を隠すことなく、すべて伝えたい。ぜひ気軽に声をかけてほしいですね」

この日の訓練の最後、亀岡さんは参加した団員たちにこう呼びかけました。
「今日も協力ありがとうございます。みんなで頑張って、作り上げていきましょう」
その言葉は、選手だけでなく、支援団員の心にも響くものでした。
一人のベテランが積み重ねてきた経験や技術が、若い団員へと受け継がれ、さらにその先の分団へと広がっていく――。都大会に向けた訓練の中では、そんな「次の世代へつなぐ」営みも続いています。




訓練は今後も続きます。近隣の皆さまには、通行時などにご迷惑をおかけすることもあるかと思います。支援メンバーが通行する方を誘導したり、水がかからないよう幕を設置したりするなど、安全に十分配慮しながら訓練を行っています。
引き続き、選手たちの挑戦を温かく見守っていただければ幸いです。
訓練の模様の動画です↓

